こんにちは。CA-P(キャップ)(@canadaportal)です。
2018年6月21日に、カナダ議会は、「嗜好品としてのマリファナの所持と栽培の合法化」についての法案に可決しました。そして、ジャスティン首相は、2018年10月17日に施行されると発表しました。この日をもって、嗜好品としてのマリファナの所持と栽培は、カナダでは合法となりました。
なおマリファナには、いくつかの呼び名があり、カナダ政府では「CANNABIS」(カンナビス)という表現を使っています。
さて、我々日本人も、この法案をそのまま当てはめてもよいのでしょうか。今回は、マリファナ合法化と日本人について、ご紹介いたします。
属地主義と属人主義について
カナダでのマリファナについての適応を考える上で、まず最初に日本の法について、確認をする必要があります。日本の法の適用範囲については、「属地主義」と「属人主義」という考え方があります。
属地主義
まず、日本の法は、基本的に「属地主義」をとっています。属地主義とは、「法律であれば国内、条例であればその自治体内にある人やもの全ての適用範囲を場所的に限定する」という考え方です。
国の法律においては、主権の及ぶ範囲に適用されるということで、「領土・領海・領空」の全てが対象になっています。一方、条例においては、属地主義を採用していることが、条文上では明確な根拠がありません。
しかしながら、最高裁の判例(昭和29年11月24日)で「原則としてその効力は、当然属地的に生ずるものと解すべきである」とされています。
つまり、日本の領土内であれば、日本に滞在中の外国人にも日本の法律が適用されるということになります。逆にいえば、日本の領土外であれば、日本人であっても、日本の法は適用できないという考え方になります。
すると、カナダに滞在中の日本人は、マリファナを所持しても違法にならないということになりそうです。
しかし、まだ、あわてないでください。このままでは、外国に出れば、犯罪が野放し状態になってしまいます。そこで、次の「属人主義」という考え方が重要となってきます。
属人主義
「属人主義」とは、「属地主義」と対比される考え方です。属人主義は、その名のとおり、人に着目した法令の効力の判断です。
国であれば日本国籍を有する者、自治体であればその自治体の住民を対象とするという考え方です。国民は領土外においても自国の法が適用され、自治体の住民であれば条例が適用されるという考え方です。
つまり、日本国民は、日本の領土外(外国)においても日本の法が適用されるという考え方です。
これは、日本国外だけではなく、日本国内の自治体においても同様です。属人主義の例を挙げると、A県の職員がB県に出張に行ったとき、B県に滞在中であってもA県の条例が適用されるという考え方です。
刑法
日本の刑法を確認してみましょう。
第三条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。
刑法第3条で、日本国民であれば、海外で犯した場合、日本国刑法の適用を受ける犯罪を列挙しています。(第1項~第17項)
第三条の二 この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する。
刑法第3条の2では、日本人が海外で被害者になった際の加害者に対して日本国刑法を適用することを定めています。(第1項~第6項)
第四条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国の公務員に適用する。
刑法第4条では、日本の公務員が、海外で犯した場合、日本国刑法の適用を受ける犯罪を列挙しています。(第1項~第3項)
なお、第3条と第4条は、日本人が加害者である場合で、このことを「積極的属人主義」といいます。また、第3条の2は、日本人が被害者である場合で、このことを「消極的属人主義」といいます。
第四条の二 第二条から前条までに規定するもののほか、この法律は、日本国外において、第二編の罪であって条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされているものを犯したすべての者に適用する。
刑法第4条の2では、属地主義および属人主義とは異なる考え方として「世界主義」というものがとられています。
これは、条約で犯罪とされているものであれば、「国外で日本人以外が犯した犯罪も、日本で処罰する」という考え方です。
結局、セーフ?アウト?
間違っても、ブログやSNSで、以下のようなコメントをするようなことだけは避けましょう。炎上はまぬがれません。
刑罰はどのくらい?
それでは刑罰について、細かいお話をいたします。たった今、日本人が、マリファナを「所持」「譲受」「譲渡」「栽培」「輸入」「輸出」などを行うことは、違法であると記載しました。でも、なにかが、足りないことにお気づきでしょうか。
実は、マリファナの「使用」については、記載していません。
マリファナを使用したら
実は、マリファナの「使用」は、それ自体だけでは、犯罪とは定められていません。そのため、マリファナを吸っただけでは、逮捕されない場合が多いのです。(皆無ではありません。)なお、覚せい剤の場合は、「使用」でも違法となります。
理由はいくつかあるのですが、よく知られたもののひとつに下記があります。
我々が悪のイメージの象徴としている、いわゆるマリファナは、大麻草の葉や花の部分の使用のことを差しています。上記は、大麻草の種や茎の部分なので、使用する部分が異なります。
ただし、いくら使用している部分が異なるとはいえ、大麻を栽培している以上は、微量ながら葉の粉末等を吸引してしまう可能性があるといいます。大麻取締法で「使用」を違法とすると、使用した人全員に刑罰を課す必要があります。それでは都合が悪いとのことで、「使用」においては、罰則から削除したのです。
つまり、大麻取締法違反で逮捕するためには、「使用」以外で逮捕しなければなりません。所持や栽培をしていることが濃厚である場合に職務質問にかけたり、取引の現行犯逮捕をすることになるのです。
「使用≒所持」と突っ込みたくなりますが、そこが法解釈の難しいところです。
刑罰の種類
大麻取締法違反では、以下のように定めています。
犯罪の種類 | 刑罰 |
所持、譲受、譲渡 | 5年以下の懲役 |
営利目的の所持、譲受、譲渡 | 7年以下の懲役、事情により追加で200万円以下の罰金 |
栽培、輸入、輸出 | 7年以下の懲役 |
営利目的の栽培、輸入、輸出 | 10年以下の懲役、事情により追加で300万円以下の罰金 |
なお、初犯かつ単純な所持や譲渡の場合は、懲役1年程度に減刑され、執行猶予3年程度がつく場合が多いようです。また、所持量が微量の場合、起訴猶予で、不起訴になる場合もあるようです。
とはいうものの大麻取締法違反に「使用」が該当しないことや、これらの減刑が、決して、マリファナの使用を助長するものではありません。絶対に、使用しては、いけません。
まとめ

日本の法を理解するのに、ある意味ちょうどよいカナダの法案となりました。

犯罪に「知らなかった。」は通用しないことを肝に銘じておく必要がありますね。

【本記事のチェック・ポイント】
- 何処にいても、日本人が、マリファナを取り扱うことは、違法となります。
- 現代の日本は、属地主義を原則として、属人主義で調整をしています。
- 対象に「使用」がないからといえ、使用を助長しているわけではありません。

知らない人にも教えてあげた方がよさそうですね。
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