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RUSH(ラッシュ) Hemispheres(神々の戦い)

カナディアン・ミュージック
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こんにちは。CA-P(キャップ)@canadaportal)です。

 

カナダ出身のミュージシャンと言ったら、誰の名前を挙げるのか意見が分かれることでしよう。でもカナダ出身のバンドと言ったら、最初に多くの人の頭に浮かぶのは、怪物3ピース・バンドの「RUSH」ではないでしょうか。

 

今回は、わずか3人でスタジオ・アルバムをほぼ再現できる技巧派バンドの6枚目のスタジオ・アルバム「Hemispheres」ついて、紹介いたします。

 

Hemispheresを初めて聴いた頃

 

ティーンエイジャー時代の私は、十分なお金を持っているわけもなく、レンタル・ショップでRUSHのアルバムを探しておりました。そのレンタル・ショップにあったRUSHのアルバムは、「Hemispheres」と「Signals」の2枚だけでした。

HEMISPHERES

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SIGNALS

                                RUSH / Signals

この2枚のうち、「脳の上で手を差し伸べる裸体の男性とステッキも持った黒服紳士」のジャケットの方が、「101匹ワンちゃんのどれかの1匹と消火栓」のジャケットよりもインパクトがありました。

 

結果的には、このとき「Hemispheres」を選んだので、RUSHを好きになれたのかもしれません。実は今、RUSHのアルバムをほとんど所有しておりますが「Signals」はあまり好きなアルバムではないのです。「Hemispheres」には、「神々の戦い」という邦題がつけらており、当時、中二病の私は、この邦題にも引きつけられていたようにも思います。

 

さて、この「Hemispheres」ですが、このアルバムは難産の末、リリースされています。前作「A Farewell To Kings」のB面ラストの曲を「to be continued…」で締めくくったため、続編を製作しなけばならないというTaskをバンド自らに課したのです。

 

 

 

Hemispheresの第一印象

 

Jeff Beckは、Ritche Blackmoreに対して、Jimi Hendrixのプレイを「He hits you straight between the eyes!」と評したと言われています。私にとってのRUSHが、まさにそれでした。Led Zeppelin、Deep Purple、Black Sabbathのようなハード・ロックくらいしか知らなかった私にとっては、それは間違いなく闇からの一撃でした。

JEFF BECK

JIMI HENDRIX

RUSHは、プログレ・ハード(プログレッシブ・ロックとハード・ロックの融合)のパイオニアとされています。「Hemispheres」のA面は片面18分すべてが1曲(組曲)で構成されています。プログレではお馴染の組曲です。

 

しかし、1曲が18分あろうと、まったくダレません。もちろん、変拍子も初体験だったはずなのですが、いたずらに変拍子を意識させない曲作りなのです。テクニカルであるからこそなせる業なのでしょう。さらに一方のB面も、たった3曲しか収録されていませんが、いずれも代表曲です。

 

変拍子なのに口ずさめる珠玉のメロディ、そして極めつけは、Robert Plantとは、また違ったGeddy Lee(B&Vo)の金切りハイピッチ・ヴォイスも魅力です。

 

 

Hemispheresとは

 

「Hemisphere」とは、「半球」を意味します。

 

本アルバムでは「天球を2分して支配したアポロンとデュオニソスとの神々の戦い」そして「右脳と左脳との葛藤」を絡めています。「理性と感情」を表現しています。Neil Peart (Dr)の世界が炸裂した一大コンセプト・アルバムです。

 

前作「A Farewell To Kings」のB面ラストの曲は「Cygnus X-1 Book I: The Voyage」です。この曲中で、主人公は宇宙船ロシナンテ号に乗ってシグナス(白鳥座)に向かったとき、得体の知れない力の影響を受けて、ブラックホールへ落ちていく・・・というところで終わっていました。

A Farewell To Kings

Cygnus(白鳥座)

その後の展開が「Hemisphere」のA面すべての「Cygnus X-1 Book II: Hemispheres」なのです。Neil Peart は、このTaskを下記のような物語として完結させたのです。

 

Hemispheres <SIDE-A>

 

 

Cygnus X-1 Book II: Hemispheres

 

I. Prelude

 

ハードなギターサウンドから、一転、緩やかな3連ブギーに入った・・・のも束の間、変拍子のリフが展開されていきます。その後、また緩やかなアルペジオになった・・・と思いきや、また、加速、減速という展開です。

 

実は、このPreludeで、後のパートのリフや展開の触りを少しずつぶち込んでいます。人によっては、この後の展開で、ループするスタイル をしつこいと思うのか、心地よいと受け止めるのかで評価が分かれるかもしれません。短気な人は、このPreludeだけで全体像を把握したと言っております。(私は、そう思いませんが・・・)そして3分を過ぎたあたりから、ついに、衝撃的なハイピッチ・ヴォーカルが耳を刺激します。

 

II. Apollo (Bringer of Wisdom)

 

アポロン(知恵をもたらす神)

 

「理性」を司るアポロンは、こう人々に訴えました。

「私が、そのなたたちに、理性と知性をもたらそう。そして、食物と棲む場所を提供しよう。もちろん、寒さをしのぐ暖も与えよう。」

人々はアポロンに導かれ、アポロンのもとで都市を築きました。でも、人々は漠然とした違和感を感じていたのです。何かが欠落していると感じていたのです。

 

曲は変拍子で進み、ハードなギターソロが終わるとすかさず、次のパートに移ります。

 

III. Dionysus (Bringer of Love)

 

デュオニソス(愛をもたらす神)

 

「感情」を司るデュオニソスは、こう人々に訴えました。

「私が、そのなたたちに、愛と慈しみをもたらそう。微笑みと音楽、そして、歓喜と涙を提供しよう。そなたたちは、己の感情にのみ従って生きていけばよいのだ。」

人々は、宴を楽しみ、酒をあおり、愛を育み幸せをつかみました。しかし寒い冬が訪れたとき、人々は、飢え、絶望の淵へ堕ちていくのです。

 

曲は、また、ハードなギターソロが終わるとすかさず、次のパートに移ります。

 

IV. Armageddon (The Battle of Heart and Mind)

 

ハルマゲドン(感情と理性との戦い)

 

アポロンとデュオニソスの戦いは、起こるべくして起きました。カオス、疑惑、恐怖が人々を不安へ導いていきました。世界は、理性と感情とによって真っ二つに分裂しました。このとき、この戦いを好意的に受け入れなかった人々は、いにしえの伝説の復活に活路を見出します。それは、シグナスの中心へ向かったロシナンテ号の伝説です。人々はシグナスを目指します。

 

派手なブギーサウンドに、ヴォーカルが絡みます。世界を二分した神々の戦いです。曲の前半は、神々の戦いを表現し、曲の後半は、ロシナンテ号の伝説を表現しています。

 

V. Cygnus (Bringer of Balance)

 

シグナス(均衡をもたらす神)

 

肉体を持たずに魂のみを持つ者は、こう語りました。

「私が、オリンポスへおもむいたとき、そこには、大理石と黄金の都市があった。天を切り裂く落雷を耳にした。神々の戦いを目の当たりにした。そこで私が、叫びを発すると、戦士たちは戦いの手を休めて、私の方を振り返ったのだ。さらに、アポロンとデュオニソスも、しばしの間、私の語りに耳を傾けた。そして、神々は私に、こう告げた。」

<そなたは「均衡」を司る神=シグナスと呼ばれるであろう>

 

曲の前半は、シンセサイザ―を中心としたサウンドです。ブラックホールに落ちた主人公が、神々の戦いの舞台に登場した心情や情景が表現されています。その後、リズム・チェンジとともに急展開します。主人公と対立する神々との出会いが、物語を急転させるのです。

 

分裂した半球と半球との調和をもたらす「均衡」を司る神=シグナスとは、他ならぬ、ロシナンテに乗った主人公なのです。そして曲は、再びブギーサウンドに乗ってフィナーレへ向かいます。

 

VI. The Sphere (A Kind of Dream)

 

天球(ある夢)

 

「我々は、各々に独自路線を駆けていくこともできる。それと同時に、同じ路線をともに歩むこともできる。理性と感情、真実と愛、それぞれの半球は、今、理想的な天球となったのだ。」

 

エピローグといえるパートです。アコースティック・ギターに弾き語り風の歌をのせていきます。

 

Hemispheres <SIDE-B>

 

 

Circumstances

 

へヴィ―なリフと変拍子に耳う奪われますが、RUSHとしてはシンプルな部類に入るでしょう。歌詞の内容は、少年の心の内をしたためたものとなっています。A面の大曲の後なので、スケールが小さく感じますが、この曲だけ聴けば印象が変わることでしょう。

 

The Trees

 

この曲では人間社会に関する縮図を「オーク」と「カエデ」に見立てて歌詞の中に登場させています。しかし、RUSH自身は、深い意味はないと言っています。う~む。

 

トラッド風のイントロの後、しっとりと歌い始めます。これも小曲ですが、展開は複雑です。ハード・ロック?三連ブギー?冒頭のメロディのリフレイン?この曲は、ライヴでもよくプレイされています。とりあえず、覚えておいて損はしません。

 

La Villa Strangiato (An Exercise in Self-Indulgence)

 

10分弱のインストルメンタルナンバーです。中期RUSHの代表的なインストゥルメンタルに「YYZ」があるので、一般的には、影が薄いです。でも、RUSHファンには、お馴染みの1曲です。ちなみに、この曲の長さなのに、一発録りといわれています。う~む。

 

I. Buenos Nochas, Mein Froinds!

II. To Sleep, perchance to dream

III. Strangiato theme

IV. A Lerxst in Wonderland

V. Monsters!

VI. The Ghost of the Aragon

VII. Danforth and Pape

VIII. The Waltz of the Shreves

IX. Never turn your back on a Monster!

X. Monsters! (Reprise)

XI. Strangiato theme (Reprise)

XII. A Farewell to Things

 

まとめ

 

日本には独特な文化があるので理解しにくいかもしれませんが、カナダでは特にROCKファンじゃなくてもRUSHのことを知っています。

 

日本だとJ-POPしか聴かない人でも、美空ひばりは知っているということかしら?

 

【本記事のチェック・ポイント】

  • A面が、まるまる組曲の1曲です。
  • プログレ・ハードの先駆者です。
  • ベース兼ヴォーカルの声はハイピッチです。
  • たった3人でほぼスタジオを再現したライヴを行います。
  • このアルバム以降、大作がなくなります。

 

カナディアン・ロックを語る上で、最も重要なバンドですね。

 

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